【報ステ解説】『デジタル円』検討開始「手数料0の可能性」電子マネーと違いは?(2023年4月21日)
法定通貨の『円』を電子データにした『デジタル円』について、発行の実現性を検討する有識者会議の初会合が開かれました。
21日の会合では、財務省と日銀が、デジタル円についての政府の方針や、これまでの取り組みなどを説明し、9人の委員と意見交換しました。
委員からは、個人情報をどう保護するかなどの課題や、各国の動向を冷静に分析すべきだといった意見が述べられたということです。
有識者会議は、今後も検討を進め、年内をめどに報告をまとめる方針です。
【電子マネーと何が違う?】
野村総研のエグゼクティブ・エコノミスト、木内登英さんに聞きました。
木内登英さん:「デジタル円を導入した場合は、今のキャッシュレス決済と同じような使い方になるのでは」
では、違いはどこにあるのかというと、私たちが今、キャッシュレスで使う電子マネーは、日本円をベースに企業が発行したもの。それに対して、デジタル円は通貨そのものです。
極端な話、電子マネーは、運営企業が破綻したらなくなるリスクがありますが、デジタル円は、国がなくならない限り使える、国の保証という安心感があることになります。
今は検討段階で、具体的にいつ、どうなるかは決まっていません。
新たにデジタル円ができた場合のメリットは何なのでしょうか。木内登英さんは、キャッシュレス決済などで企業側が負担する手数料がなくなる可能性がある。また、お金の動きが把握しやすくなり、脱税やマネーロンダリングなど金融犯罪防止につながるのではないか。それから、現金を金庫で保管するなどのセキュリティーコストかからないことなどを挙げています。
検討が始まった大きな理由についてはこう話します。
木内登英さん:「現状“法定通貨のデジタル化”は、中国が先行していて『デジタル人民元』の実用化を目指している。世界的に利用されれば、人民元が世界の基軸通貨の米ドルを脅かす可能性もある。欧米や日本は、中国に対抗するために、法定のデジタル通貨発行の議論がされている面ある」
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